空き家問題とは!?空き家が増え続ける理由と空き家増加の問題点

空き家問題とは!?空き家が増え続ける理由と空き家増加の問題点

2005年に実施された国勢調査で初の人口減少が発表され、以後の日本は人口減少・世帯減少時代に突入したといわれています。

人口が減り世帯が減るとどうなるのか?そう、住宅が余ることになります。

いま、我が国は空前の「空き家問題」に直面しています。

日本の住宅事情は随分昔から過剰供給状態となっており、今でも住宅の新築件数>解体件数の図式が崩れていません

これから先の未来でも、空き家が増え続けていくことが懸念されており、空き家問題は全国の課題となっているのです。

このような時代背景を背に、何らかの活用法を見出すことなく空き家を所有していれば、

間違いなく増加の一途をたどる多くの空き家に埋もれてしまい、日の目を見ないまま解体されるか、若しくは廃屋となって放置されるだけとなるでしょう。

今のところは「とりあえず」の維持では手遅れです。

そこでイエプロでは、

  • 空き家を放置するとどんな問題が起きるのか?
  • 空き家を維持するためにはどうするべきか?

に焦点を当てて、空き家が持つ可能性を探っていきましょう。

目次

空き家問題とは!?全国民が取り組むべき問題である

最近では様々なメディアで取り上げられる機会が多くなった「空き家問題」。

空き家問題とは、「日本全国に空き家が増え続けている」という問題のことです。

「空き家が増えている」と聞くと田舎にある古びた一軒家を想像するかも知れませんが、実は都市部でも空き家は増加しています。

空き家問題がその身に差し迫っているのは、現在進行形で空き家を所有している人だけではありません。

ご健在の両親が住んでいる実家を将来的に相続する予定がある、マイホームを構えたが遠隔地に転勤するおそれがあるなど人にとって、空き家問題は人ごとではありません。

新聞記事やニュースに目を向けると、空き家になってしまった住宅が犯罪者のアジトに利用されたり、管理をしていない空き家が倒壊してしまい通行人が負傷する事件も報道されています。

空き家問題が注目される中で、空き家を放置したことで発生した事件として各メディアで大きく取り上げられるようになりました。

空き家問題は、今まさに全国民レベルで取り組むべき問題です。

遠くない将来に自分の身に降りかかる問題かも知れないと感じながら、空き家問題に取り組んでいく必要があるのです。

空き家の増加状況は!?このまま空き家が増え続ける危ない状況

空き家が実際にどれくらいの勢いで増加しているのかを見ていきましょう。

総務省統計局が発表しているデータを見ると、昭和48年から平成25年の間に右肩上がりで空き家が増加しています。

昭和48年調査における空き家率は5.5%でしたが、最新の平成25年調査では13.5%にまで増加しました。

前回調査にあたる平成20年調査と平成25年調査の結果を見比べても目に見えて空き家が増加しており、特に近年においては空き家増加率が加速している現状が浮き彫りになりました。

都道府県別の空き家率も発表されているのでデータに目を向けてみましょう。

空き家率が高い都道府県は、山梨県・愛媛県・高知県・徳島県などです。

四国の県が上位を占めるなど、やはり地方は空き家問題が深刻化しているようです。

一方、宮城県・沖縄県・山形県・埼玉県・神奈川県・東京都などは空き家率が低く、大都市圏、特に関東地方は他の地方に比べると空き家率が低いことが分かります。

とはいえ、多少の差があっても空き家率自体は地域に限らず増加しており、全国的に空き家が増加している事実に変わりはありません。

次に、住居の種類にも目を向けてみましょう。

空き家の総数は、平成20年調査で756万戸、最新の平成25年調査では819万戸にまで増加しています。

最新の調査結果では、一戸建ての空き家が49.6万戸も増えており、なんと全体の79%を占めているのです。

空き家調査の対象は、一戸建てだけでなくマンションなどの集合住宅も含まれていますが、この調査結果に目を向けると、一戸建てが空き家になりやすく、売却などの処分が比較的容易な集合住宅は空き

家として放置されずに活用されている傾向が分かるでしょう。

一口に「空き家」と言っても、所有の目的や現状によってその性格は異なってきます。

そのため、国の調査では空き家を4つの形態に分類して区別しています。

二次的住宅・・・常に誰かが居住しているわけではないが一定の時期のみ使用するなど、常用していないだけの空き家

賃貸用住宅・・・賃貸目的で所有しているが、借り手が見つからない空き家

売却用住宅・・・売却目的で所有しているが、買い手が見つからない空き家

その他・・・特に用途が決まっていないまま放置されているだけの空き家または分類不能の空き家

二次的住宅はセカンドハウスや別荘として使用されているものも含まれるので、空き家問題の焦点となるレベルではありません。

賃貸用住宅や売却用住宅も、新たな借り手や買い手が見つかれば空き家ではなくなるので、大きな問題にはならないでしょう。

問題となるのは、特に用途も決まらないまま放置されている「その他」の空き家です。

その他の空き家の増加数は50.3万戸であり、特に近年における増加は著しいものがあります。

さらにその他の空き家のうち、一戸建ての軒数は49.6万戸で、一戸建て住宅こそ用途も決まらないまま放置されやすい傾向があることが分かります。

  • 一戸建てのマイホームを所有している
  • 親が住んでいる実家が一戸建て住宅である

という方は、将来的に空き家問題の渦中に巻き込まれるおそれがあると認識しておきましょう。

空き家予備軍とは!?将来に空き家になる恐れが高い状態のこと

空き家問題に関連する用語として最近使われるようになった「空き家予備軍」。

空き家予備軍とは「現在は空き家ではないが、近い将来に空き家になるおそれが高い状態」を指す用語です。

行政も空き家問題と並行して「空き家予備軍対策」を進めており、特に、独居の高齢者のみが居住している住宅を空き家予備軍と捉えて対策を講じています。

高齢者のみが居住する住宅は、5年後、10年後と遠くない将来に住人が亡くなることで家主不在の状態になります。

高齢者の子ども、孫などの相続人がその住宅を引き継いで居住すれば空き家にはなりませんが、誰も居住しなかったり処分のあてもないまま放置されれば、その住宅はただの空き家になります。

調査を重ねるごとに一戸建ての空き家が増加しているメカニズムはここにあり、

  • 子どもはマイホームを所有しているため実家を継がない
  • 子どもは都市部で独立しており、親と同居はしない

という風潮が空き家の増加に拍車をかけているのです。

すでに存在する空き家の活用法などを講じるのが「空き家対策」ですが、調査結果を見れば焼け石に水。

右肩上がりで増加する空き家に対して、予防的な措置が可能な段階での「空き家予備軍対策」を取ることが重要だと言えるでしょう。

増加する空き家予備軍

両親が亡くなってしまい家主不在となった実家。

子どもや孫が管理できれば大きな問題にはなりませんが、遠方にあれば行き届いた管理は不可能です。

さらに、

  • 賃貸物件として活用しようにも、借り手を探すのが面倒
  • 売却しようにも買い手が見つからない

となれば、結局は実家を放置してしまい、新たな空き家が生まれることになります。

日本が「高齢化社会」と呼ばれるようになって長い時間が経ちましたが、実は日本の現状は「高齢化社会」ではありません。

世界保健機構(WHO)の定義では、総人口のうち65歳以上の高齢者が占める割合が7%を超えると高齢化社会と呼ばれます。

さらにこの割合が14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と呼ぶことが定義づけられており、すでに総人口の約27%が65歳を超えている日本は世界に類を見ない超高齢社会だと言われています。

高齢者が増える=空き家予備軍も増えるという方程式で、空き家予備軍の数も恐ろしいまでのスピードで増加しているのです。

空き家を放置するとどうなる!?空き家を放置した場合の6つの問題点

空き家に関する最新の調査は2013年、この時点での全国の空き家軒数はなんと820万戸でした。

「空き家」というと、すぐにでも倒壊してしまいそうな廃屋や、寂しい雰囲気が漂うゴーストハウスのような住宅を想像するかも知れませんが、実はそうではありません。

中には新築のまま誰も住むことなく空き家になっている住宅や、構造が頑丈で倒壊などの危険など全くない空き家もたくさんあるのです。

では、新しくて綺麗な空き家や、倒壊などの危険がない空き家は、そのまま放置しておいても問題はないのでしょうか?

それは間違いです。空き家は建物自体だけでなく、空き家が建っている敷地も含めて問題を引き起こす場合があるのです。

空き家放置の問題点①空き家を放置老朽化と周囲への悪影響

住宅は「放置すると老朽化する」といわれています。

通常、モノは使用すれば使用するほどに老朽化するものだし、住宅も居住をすることで老朽化する部分があることは事実ですが、住宅を放置することは「住宅の寿命」を削ることになるのです。

放置することが住宅の寿命を縮める理由は、

  • 採光・換気がされないことで湿気がこもってしまう
  • 老朽化に気がつかず、修繕の機会が失われてしまう

ことがあげられます。

空き家となったとしても、少なくとも定期的に風通しをして湿気を払い、老朽化した部分がないかを点検しておかないと、住宅の寿命は確実に削られていきます。

老朽化が進んだ空き家は、外見上は住宅の形を保っていたとしても「住まい」としての機能は失われてしまうだけでなく、空き家の周辺にも悪影響をもたらし始めます

空き家が周囲に与える悪影響は以下のとおりです。

  • 建物の倒壊、壁材や屋根材の剥落・飛散による負傷
  • 放火・失火による火災の発生
  • 庭木・雑草が無節操に成長
  • 害虫・害獣の発生
  • 不法投棄を受けるなどの衛生状況の悪化
  • ホームレスや犯罪者による不法侵入・不法占拠
  • 景観の悪化

これらの悪影響を、空き家の所有者が被るだけならまだしも、周辺住人や単なる通行人が被害・損害を被ることになるのですから、放置されて老朽化した空き家の存在は弊害としか言い様がありません。

空き家の所有者としても「悪影響を被るのは自分ではない」と無視することはできません。

空き家放置の問題点②火災の危険がある

空き家問題の中でも非常に危険度が高いのが「火災の危険」です。

空き家は、監視の目がないためイタズラ行為の格好の的になります。

ゴミの投棄や外塀の落書き程度なら大きな危険は生じませんが、侵入者の火遊びによる失火や放火が発生すれば周囲に大きな危険を与えることになります。

特に日本住宅は木造が多く、ちょっとした火種が大きな火災に発展することも珍しくありません。

しかも、放火犯は「住宅を燃やしたいが住人を死傷させることは避けたい」という心理から非現住の住宅、つまり空き家を狙って犯行に及ぶことが多く、空き家は放火の格好の餌食となります。

空き家が単体で燃えるだけで済めばまだしも、隣家との間隔が狭い日本の住宅事情を考えれば延焼の危険も高いため、空き家周辺の住宅も同時に危険な状態にさらされていることになります。

空き家増加の問題点③倒壊のおそれがある

放置された空き家が引き起こす大きな危険が「倒壊のおそれ」です。

管理されないまま老朽化した空き家は、地震・台風などの大規模災害が発生すると倒壊してしまう危険があります。

建物自体がいきなり倒壊しないとしても、老朽化した屋根瓦や外壁が剥がれ落ちることもあります。

最近では、

  • 老朽化した空き家から剥がれ落ちた屋根瓦が駐車中の車に衝突した
  • 剥がれ落ちた外壁が通行人に当たって負傷した
  • 大規模災害時に倒壊した空き家が避難経路を塞いでしまった

という事案が発生しており、空き家の存在が直接的に危険を及ぼす要因として懸念されています。

他人に対して損害を与えてしまった場合には、損害賠償請求を受けるおそれがあります

具体的には、放置した空き家の屋根が剥落し、通行人に当たって負傷したため、治療費等を含めた損害賠償請求が認められた事例があります。

損害賠償問題には至らなくても、空き家周辺の住民との関係が悪化することで将来的に住みにくくなることも考えられます。

いま現在にすぐ居住する予定がないとしても、空き家を適切に管理することは必須だと言えるでしょう。

空き家放置の問題点④犯罪を助長してしまう

空き家の存在は「犯罪を助長してしまう」ことがあります。

いくら玄関戸を施錠していても、誰も管理していない空き家なら戸を破壊して侵入することは可能です。

人目につかないように出入りをしなければ、住み着いていても容易に見つかることはないでしょう。

犯罪者のアジトとして利用されたり、大麻など違法薬物の栽培に使われてしまうこともあり得ます。

空き家が犯罪に使われたからといって、さすがに空き家の所有者が犯人と共犯関係にあると疑われることはありませんが、日頃の管理状況について詳しく事情聴取を受けたり、現場確認の立会いをするなど、大きな手間を食わされることになるでしょう。

空き家放置の問題点⑤自治体を破綻させる

行政が空き家問題に取組む理由の一つとして挙げられるのが「自治体を破綻させる要因となる」ことです。

2007年に行政が破綻したことで大きく報道された北海道夕張市。

破綻時の夕張市の空き家率は33%でした。

海外の例では、2013年にアメリカミシガン州のデトロイト市が行政破綻しましたが、この時の空き家率は29.3%でした。

明海大学不動産学部の斎藤広子教授は「空き家率が30%を超えた場合、自治体の財政が破綻する」と訴えています。

空き家が増加することで周辺の生活環境が悪化します。

生活環境が悪化すれば、その地域への人口流入は見込めません。

それどころか人口の流出に拍車がかかり、ゴーストタウンと化してしまいます。

人口が減少すれば、自治体の税収も減少し、財政難に陥ります。

財政難を極めれば、自治体は破綻してしまうのです。

「税収確保のため」と言ってしまうと良い感じはしませんが、自治体の健全な運営なくして市民生活は守られません。

空き家の存在は自治体の運営までをも蝕む負の財産となっているのです。

空き家放置の問題点⑥資産価値の低下

住宅は、時間の経過とともに資産価値が低下します。

  • 再開発地域に該当する
  • 人気が高いマンションである

などの特別な事情がない限り、住宅の資産価値が維持されたり資産価値が上昇することは、まず考えられないでしょう。

新築であろうが、空き家であろうが、築年数が増せば増すほど住宅の資産価値は徐々に下がっていくことは避けられません。

ただでさえ経年によって住宅の資産価値が低下するのですから、周辺に悪影響を与えるレベルに達した空き家の資産価値は著しく低下します。

そればかりでなく、隣接する周辺の住宅や土地の資産価値の低下も招いてしまいます。

また、一度でも荒廃してしまった住宅や土地は、売却を考える際に大きなマイナスを背負うことになります

売却の際には、元の状態に戻すための費用を込みで取引されるのが通常であり、老朽化した住宅が建ったままの土地を売却する場合、住宅の解体費用を差し引かなければならないからです。

マンションであれば、戸建て住宅よりも資産価値の低下が緩やかです。

しかし、空き室が増えてしまうと管理組合の意思決定に支障をきたすため正常に機能しなくなります。

管理組合が正常に機能しないと、修繕等の管理対策が取られないままスラム化してしまい、資産価値を大きく落としてしまうおそれがあるのです。

空き家が増え続ける5つの理由

よほどの資産家でもない限り、マイホームの購入は一生で最大の買い物となります。

「いつかはマイホームを持ちたい!」と目指している人が多い中で、空き家が増加しているという現状に現実味を感じることができない人もいるのではないでしょうか?

ここでは、なぜ空き家が増え続けているのか、その理由に目を向けていきましょう。

空き家が増え続ける理由①空き家を取り壊して土地にすると税金が高くなるから

なぜ空き家が増えるのか?

非常に単純な答えの一つとして「空き家を取り壊さないから」という理由が挙げられます。

「誰も住まない住宅なら、解体業者に頼んで取り壊せば済む話では?」と言いたくなる気持ちは分かります。

しかし、これが進まないからこそ空き家が増えているのです。

では、なぜ空き家を取り壊さないのか?

その理由は「税制」にあります。

現在の税制では、土地の上に住宅が建っていれば土地の固定資産税と都市計画税が減免されます。

土地と住宅の両方に対して100%の税金を納めるという負担を軽減するための措置ですが、空き家問題の解消においてはこの減免措置が裏目となっています。

もし「土地+住宅」の状態から住宅を取り壊し「土地のみ」になった場合、固定資産税と都市計画税の総額は以前の状態と比べると約3倍程度になると言われています。

土地の価値が著しく低い地域であれば大差はありませんが、土地の価値が高い都市部などでは大きな差となり襲いかかってきます。

しかも、解体業者に取り壊しを依頼すれば、一般的な二階建て住宅でも100万〜200万円程度の解体費用がかかります。

不要となった空き家を取り壊すのに、税金は3倍近くに膨れ上がり、さらに解体費用を支払うことになるのですから、空き家の所有者にしてみれば「そのまま放置しておくほうが賢い」と判断してしまうのも理解できる話でしょう。

空き家が増え続ける理由②人口が減少してるから

これも単純な理由ではありますが、空き家が増えている理由の二つ目は「人口の減少」です。

2005年に初の人口減少を迎えた日本は、緩やかながら確実に人口減少を続けています。

そして、緩やかだった減少速度はこれからさらに加速していくものと予想されています。

人口が減少すれば、当然ながら住宅が余ります。

「住宅が余るのであれば、余っている住宅に住めば良いのでは?」とも考えられますが、どうせ多額の融資を受けてマイホームを購入するのであれば、誰しもが新しくて機能的な新築住宅に住みたいと考えるでしょう。

住宅を新築して購入したいという人はいつになっても尽きず、中古住宅は売れ残って空き家になってしまうのです。

人口が減少したことで、住宅の需要と供給のバランスが崩れてしまったことが、空き家の増加を加速させているのです。

空き家が増え続ける理由③買い手がつかない・借り手が見つからないから

空き家の活用法として考えられるのが「売却」と「賃貸」です。

ところが、この売却と賃貸が上手く進まないことも空き家が増え続ける要因の一つとなっています。

日本の住宅市場では、中古住宅はあまり好かれていません。

中古住宅と言えども安い買い物ではないので、どうせ多額の融資を受けるのであれば新築住宅のほうが好まれるのです。

買い手がつかない住宅は、不動産業者から見捨てられ、所有者も管理に疲れ果て、やがては放置されて空き家になってしまうのです。

また、賃貸住宅の市場では、一戸建て住宅よりアパートやマンションのほうが需要が高く、借り手が見つからないまま放置されるケースは珍しくありません。

特に地方の片田舎になれば賃貸物件の需要自体が非常に低くなるので、不動産業者が賃貸情報を紹介しても1件の問い合わせもないまま放置されてしまうことさえあるのです。

空き家が増え続ける理由④所有者が空き家の活用を諦めてしまうから

空き家が増え続ける究極の原因は「所有者が空き家の活用を諦めてしまうこと」にあるでしょう。

空き家の買い手や借り手を見つけるのは容易なことではありません。

購買意欲を高めるためにリフォームやリノベーションを加えたり、借り手をつけるためにメンテナンスをするなどの工夫が必要です。

しかし、そのための資金を調達したり、時間や労力を費やすのが惜しくなると、所有者は空き家の活用を諦めて放置してしまいます。

しかも空き家を取り壊すには解体費用が必要で、さらに空き家を取り壊せば土地の税金が高くなるとくれば、ますます空き家は放置されてしまうのです。

空き家トラブルは所有者が責任を取るの?

空き家の所有者にとって気がかりになる問題があります。

それが「空き家が引き起こしたトラブルについて、所有者が責任を負うのか?」という問題です。

ここからは、空き家の活用法が見い出せないまま放置している全ての所有者のみなさんに注目して頂きたい部分です。

まず結論を先に述べますが、空き家が第三者に損害を及ぼした場合、所有者に責任が発生することがあります。

例えば、老朽化した空き家の屋根瓦が剥がれ落ち、通行人に当たって負傷させた場合、空き家の所有者が適切な管理を怠っていたために発生した事故だと判断されて、負傷者の治療費を負担した上で損害賠償の義務を負うことになります。

同じように駐車中の車両を損壊すれば修理費用を負担することにもなります。

お金で片付く問題であればまだしも、もし通行人が負傷して重大な後遺障害を負ってしまったり、最悪のケースでは死亡してしまえば、一生かかっても払うことができない多額の賠償責任を負うことにもなりかねないのです。

空き家を所有しているだけで、これほどにも重い責任が生じるおそれがあるとなれば、空き家をただ放置しておく訳にはいきません。

それに、老朽化した空き家が引き起こしたトラブルの責任を所有者に負わせれば万事解決という訳でもありません。

空き家問題の6つの対策

先ほどの説明通り、空き家を所有していれば、所有者は空き家が引き起こすトラブルの責任を負うことになります。

周囲の生活環境に害悪となる空き家は、自治体が「特定空き家」に指定して処分に介入できる制度が既に導入されています。

ここでは、

  • 空き家の所有者責任を問われるような事態を回避したい
  • 特定空き家に指定されて自治体に介入されることは避けたい

という空き家所有者のみなさんのために、空き家対策の現状と対策を紹介しましょう。

空き家問題の対策①「空き家対策特別措置法」による住宅用地特例の適用除外や強制解体

2014年、国は空き家問題の解消を目指して「空き家等対策の推進に関する特別措置法(通称:空き家対策特別措置法)」を制定しました。

空き家対策特別措置法の施行により、周辺に悪影響を及ぼしている、またはそのおそれがある危険な空き家を「特定空き家」に認定して、行政からの措置を施すことになりました。

特定空き家に対する措置は以下のように段階的に行われます。

  1. 市町村から改善のための助言・指導
  2. 改善がなければ勧告され固定資産税の特例適用除外
  3. 改善勧告に従わなければ改善命令
  4. 改善命令にも従わなければ代執行により強制対処

まず特定空き家に指定されて「市町村から助言・指導」を受ける時点で、もはや猶予がないことを告知されたのも同然です。

速やかに指摘事項の改善を施し、空き家が引き起こす悪影響を解消する必要があります。

助言・指導で改善が見られない場合、②の「改善勧告」を受けます。

改善勧告を受けてしまうと、固定資産税の特例適用除外という措置を受け、土地の固定資産税・都市計画税が上がるという事実上のペナルティを背負うことになります。

この「固定資産税の特例適用除外」というペナルティは意外にも重いものです。

住宅が建っている土地は、固定資産税が最大で1/6・都市計画税が最大で1/3に軽減されます。

特に意識していなくても、マイホームを所有している人が支払っている固定資産税等は、すでに減額措置を受けた税額なのです。

ところが、固定資産税の特例適用除外を受けることによって減税対象から外れてしまうと、

固定資産税と都市計画税は減税前のプロパー税額に戻って課税されてしまい、減税前と比較すると3~4倍程度に跳ね上がります。

②の改善命令を受けても改善されない場合は③の「改善命令」が発令されます。

行政が発する命令は勧告よりも強制力が強くいため、改善命令を受けた場合は速やかに事態を改善する必要があります。

さらに改善命令も解消できない場合は④の「代執行」を受けることになります。

代執行とは、行政が行う強制処分のことです。

市区町村が所有者に代わって改善を施すことで、強制的に悪影響を及ぼしている要因が排除されることになります。

行政によって強制的に事態を改善するため、例えば解体でしか改善できない空き家の場合、強制的に解体を受けることになります。

もちろん、解体費用は所有者負担となるため、空き家を放置することは最終的に所有者の不利益となるのです。

空き家問題の対策②空き家バンクを活用する

空き家問題への対策として脚光を浴びているのが「空き家バンク」です。

空き家バンクとは、市区町村などの自治体や、自治体から委託を受けたNPO法人等が主体となり、登録された地域の空き家情報を管理・共有・提供することで、空き家を求める利用者とのマッチングを行う事業のことです。

すでに全国の市区町村の7割が、空き家対策の一環として空き家バンクの運営を実施しています。

空き家をターゲットにした物件の売買・賃貸をあっ旋するシステムとしては非常に有効なのですが、問題は仕様の統一です。

運営の主体が自治体であり、しかも自治体単位で運営しているため仕様が統一されていないので、全国規模での情報検索ができない状態でした。

ユーザーが欲している情報をタイムリーに提供できない、ユーザー側の手間が大きいという問題を抱えたままの空き家バンクは未だに多く、当初に期待されていたほどの成果を実現していないと酷評せざるを得ません。

このような状況から、国土交通省国土審議会が主体となって、空き家バンクの物件情報の一元と標準システムの整備が提言されました。

この提言は2017年度予算に組み込まれ、国土交通省が民間業者と提携する形で「空き家バンク全国版」の展開がスタートしました。

株式会社LIFULL(ライフル)は、国土交通省のモデル事業提携先として2017年7月から各自治体への参加呼びかけを行い、すぐに60を超える自治体からの賛同を得ました。

「LIFULL HOME‘S空き家バンク」はまもなくβ版の運用が予定されており、空き家バンクの弱点解消の切り札となることが期待されています。

このような動きは、空き家対策にIT技術を導入し、増加の一途をたどる空き家の活用を促進させるものであり、国の問題として空き家対策が重大な位置づけであることを示していると言えるでしょう。

空き家問題の対策③空き家管理サービスを利用する

「今のところは誰かが住む予定もないが、将来的に移住する目的で空き家を所有している」というケースも少なくありません。

そうなれば、移住するまでの間は特定空き家に指定されないよう適切に管理する必要があります。

とはいえ、換気や清掃、水道設備の点検、庭木の剪定、郵便物のチェックなど、空き家の管理にはかなりの労力を費やす必要があります。

自宅から近ければこまめに管理することも可能ですが、遠隔地であればひどく手間がかかってしまいますね。

そこでオススメしたいのが「空き家管理サービス」の利用です。

空き家管理サービスとは、民間業者が提供している空き家管理の代行サービスです。

空き家の換気・清掃・各部のチェックなどの管理を委託することができます。

費用は業者によって異なりますが、月に一度程度の管理で毎月1万円前後が相場となっています。

安価なサービスではないかも知れませんが、煩わしい空き家の管理を任せられる上に特定空き家への指定を避けることができるとなれば、十分な利用価値があると言えるでしょう。

空き家問題の対策④積極的な活用方法を考える

ここまで、空き家を所有していることが負担になるような説明をしてきましたが、考え方によっては空き家が利益をもたらしてくれることもあります。

丁寧な修繕や思い切ったリフォームによって魅力的な賃貸物件に生まれ変わることもあるし、シェアハウスとして経営すれば通常よりも多くの家賃収入を得ることもできます。

利益を重視せず、周辺住民のコミュニティスペースとして提供することも可能です。

街並み保護地区に建っていたり、文化的な価値が認められる空き家なら、自治体が寄付を受け付けて活用することもあります。

「空き家」といえば煩わしさが目立ちますが、活用法によっては魅力的な不動産物件にもなり得ます。

ぜひ、積極的な活用法を見出して頂きたいものですね。

空き家問題の対策⑤解体やリフォーム補助金を利用する

市区町村にとって、空き家が存在することはマイナス要素しか生み出しません。

空き家が存在することによって地域の住民生活や活動は衰退するばかりでなく、住民税などの減収という問題も引き起こします。

空き家に人が住んでくれるのが住宅の劣化防止・周辺の住環境維持にはベストですが、建て替えや解体も大きな経済効果を生み出します。

そこで、多くの自治体では空き家対策に対する補助金制度を導入しています。

「空き家の維持管理にもお金がかかる」「空き家を解体したいが、解体費用の捻出に悩んでいる」という空き家の所有者は、ぜひ自治体の補助金制度を利用すると良いでしょう。

自治体が実施している空き家対策への補助金制度は、概ね以下のようなものがあります。

  • 解体費用
  • リフォーム費用
  • 家財の撤去費用
  • 管理費用

解体工事の費用は、基本的には坪単価で地方ごとの相場が決まっており、しかも住宅の構造や倉庫・カーポートなどの付帯施設などの有無でも大きく変動します。

一般的な軽量鉄骨造の2階建住宅でも200万円近い解体費用が必要になるので、補助金制度の存在は非常にありがたいものです。

空き家に関連する補助金制度は、空き家バンクへの登録を条件にしている自治体も多いので、空き家バンクの利用と並行しながら

  • 利用希望者とマッチングできれば住宅として
  • マッチングが失敗に終われば解体で

と考えるべきでしょう。

空き家問題の対策⑥空き家を売却する

  • 空き家の管理を続けるのは面倒
  • 自分や親族が住む予定もない
  • 特に活用法も見い出せない

こうなれば、空き家を活用する方法から頭を切り離し、売却するのが賢明です。

空き家を売却してしまえば、管理に煩わしさを感じたり、活用法を見出すために頭を悩ませたりする苦労から完全に解放されることになります。

ただし、老朽化した状態で売却しようとしても、なかなか買い手は見つからないことを覚悟しておきましょう。

信頼できる不動産業者を探し、不動産業者のアドバイスを受けながら、必要であれば思い切ったリフォーム・リノベーションを行うくらいの工夫が求められます。

売却の成否を決める最も重要なポイントは「信頼できる不動産業者に出会うこと」です。

単に空き家の最寄りである、知人であるなどの理由で不動産業者を選ばず、複数の不動産業者に相談して、最も信頼できる不動産業者に任せるのがベストでしょう。

空き家を維持するために必要な6つの管理内容

ここまでは行政主体の空き家対策に目を向けてきましたが、空き家問題を解決するための主体なるのはあくまでも所有者自身です。

空き家バンクで利用者とのマッチングを希望するなど、空き家をすぐに住宅として活用することを考えていれば問題はありませんが、それが現実的でない場合には、放置による老朽化や空き家周囲に対する悪影響を予防・改善することが最優先事項となります。

では、空き家を維持するための管理方法を見てみましょう。

空き家を維持する管理内容①換気

定期的に窓やドアなどを開放し、外気を室内に取り込む作業です。

空き家内にこもった湿気を除去します。

採光も兼ねており、カビの発生を抑制する効果があります。

1ヶ月に1回程度が目安ですが、梅雨時期など湿気が多い季節や雨が続いた後には積極的におこなったほうが老朽化の防止に効果的です。

空き家を維持する管理内容②掃除

ホコリ・虫の死骸などを掃除することで、室内を清潔に保つことは重要です。

室内だけでなく、庭などの屋外にも、落ち葉・外から舞い込んだゴミのほか、不法投棄されたゴミも掃除する必要があります。

こまめに行うのがベターですが、頻度が多いと億劫になってしまうので、換気や掃除の際に同時に行うと効率的でしょう。

空き家を維持する管理内容③水道設備

排水管には、排水口と排水管を直通させないための溜め水(封水)があります。

この封水が乾いてしまうと、排水口から住宅内部に虫が侵入したり、臭いの原因になってしまいます。

たとえ居住する予定がなくても水道は解約せず、定期的に通水させることで、虫の侵入や臭いの防止につながります。

水道管のサビ防止にも効果的なので、定期的に水道を機能させることは重要です。

空き家を維持する管理内容④害虫対策

現に居住している住宅であっても、虫の侵入を一切シャットアウトすることはできません。

虫はわずかなスキマから侵入するものですが、空き家になっていると虫が駆除されることがないので虫が増殖してしまいます。

住宅に甚大な被害を与えるシロアリについては、目立った被害を確認していなくても専門業者に防護処理をしてもらうと良いでしょう。

空き家を維持する管理内容⑤剪定

庭木の剪定は非常に重要です。

隣接する住宅や道路などに枝葉が出てしまうことを防ぐほか、庭木の葉・花・果実は虫の発生を促進させてしまいます。

特にモミジなどの落葉樹では落ち葉の処理が必要になるので、できるだけ手をかけたくない場合は思い切って伐採するのも良いでしょう。

併せて、除草作業も重要です。

草刈りは大変な作業なので、防草シート等を活用するのも良いでしょう。

空き家を維持する管理内容⑥郵便物

外見上、空き家になっていることの目安となるのが郵便物です。

ポストや郵便受けが郵便物であふれていると、一見して空き家だと分かってしまい、防犯面において危険な状態だと言えるでしょう。

郵便物は、郵便局に転居届を提出することで転居先へと転送することができますが、問題はポスティング業者やセールスが投函するチラシでしょう。

チラシ類は定期的に回収・廃棄する必要があります。

空き家を維持するために必要な5つの費用コスト

空き家を維持するためには必要な費用がいくつかあります。

  • 所有する不動産が戸建てかマンション
  • 今後は維持管理するのか解体するのか

などの違いによって大きく差が生じるので、意向とコストを計りにかけて計画を立てるのがベストです。

それでは、空き家を維持するための費用コストを見ていきましょう。

空き家を維持する費用①固定資産税

空き家の維持費で最も目立つのは固定資産税です。

特に、居住時と比べると税額が上がるので、目立って出費があるように感じることでしょう。

自治体が特定空き家に指定し、改善勧告を受けた場合、固定資産税の特例適用除外となります。

また、自主的に家屋を解体して更地に戻した場合にも、減税対象ではなくなります。

この場合、土地の固定資産税が3~4倍に上がりますが、一方で家屋の固定資産税は課税されなくなります。

トータルで比較すると、家屋の固定資産税がゼロになっても土地の固定資産税の増額のほうが高くなるケースが多いので、解体=コスト削減というわけではありません。

土地の価格が安い地方では、土地の固定資産税が増額されてでも解体した方がトータルの税額が安くなるケースもあります。

固定資産税評価額を基に、減税対象から外された場合と家屋を解体した場合の税額をシミュレーションすると良いでしょう。

空き家を維持する費用②光熱費

意外かも知れませんが、空き家の維持にも光熱費がかかります。

まず電気は換気・掃除などの際に電灯を点けたり掃除機などを使用するために必要です。

水道は封水の維持のために必要だし、清掃の際には水を使うことになるでしょう。

給湯施設がガスの場合はガス契約も維持する必要があります。

いずれも使用しなければ基本料金程度の最低金額で維持できますが、空き家の維持コストとしては定期的にかかる支出となります。

空き家を維持する費用③管理サービス、管理・共益費

空き家の維持管理を続けていると「誰かにお願いしたい」と考えるでしょう。

近所であれば換気や清掃に行くのも少しの手間で済みますが、もし空き家が遠隔地あれば、維持管理のためだけに出向くのも面倒になるものです。

最近では、空き家の換気・清掃だけでなく、室内までチェックしてくれる管理サービスを提供している業者も存在しています。

費用は業者によりますが、概ね1ヶ月あたり1万円前後が多いようです。

空き物件がマンションの場合、たとえ誰も居住していなくても管理・共益費は必ず徴収されます。

管理・共益費は、物件を手放すまで永久に支払いの必要があると考えましょう。

空き家を維持する費用④保険

これも意外かも知れませんが、空き家は住宅用の保険が適用されません。

住宅用の保険といえば、火災保険・地震保険・家財保険が考えられますが、空き家の場合は「一般用(店舗等)」になります。

一般用の保険は住宅用の保険よりも掛け金が高くなるので、コスト面では割高です。

火災保険に加入している場合は、地震保険・家財保険を付帯することで掛け金を安くすることも可能です。

空き家を維持する費用⑤メンテナンスや修繕積立・大規模修繕費

空き家に限らず、一戸建て住宅は外壁・屋根の定期的なメンテナンスが必要です。

一般的には10年に一度くらいのスパンで外壁と屋根の修繕・塗替えを行いますが、屋根壁全面の塗替えには100万円近い費用がかかります。

さらに生育した庭木の剪定にも専門業者に依頼する必要があるでしょう。

外壁・屋根の修繕、庭木の剪定は、自分ですることができないメンテナンスなので、それ相応の出費を覚悟する必要があります。

マンションの場合、外壁の修繕などは修繕積立金でカバーされます。

ただし、修繕積立金では費用が足りない場合、一時金を徴収されたり積立額が上乗せされることもあり、居住時よりもコストが上がるおそれがあります。

空き家問題とは!?空き家が増え続ける理由と空き家増加の問題点のまとめ

今回は「空き家の所有者が負う責任」を中心に、空き家問題の概略や対策を紹介しました。

空き家の管理を怠ったまま放置していると、倒壊などによる損害は空き家の所有者に責任が及びます。

空き家対策特別措置法の制定により、周囲に悪影響を及ぼす空き家に対して行政が介入できるようになったため、空き家の所有者は処分を含めて空き家対策に真剣に向き合う必要があります。

自治体から特定空き家に指定されると、自治体の改善命令に従わない場合は刑事罰の対象にもなります。

  • 住む予定がない
  • 借り手・買い手がみつからない
  • 活用法を見い出せない
  • 解体費用は高いし、更地に戻せば固定資産税が高くなる

そんな空き家の対処法が「放置するのが一番だ」と言われていたのは、一昔前の話。

空き家といえども「住宅」という立派な資産です。

空き家バンクや空き家管理サービスなどの新たなサービスを十分に活用しながら、適切な管理・活用法を考えていくのが最新の空き家対策であると心得ておきましょう。

 

 

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