【不動産売却の税金】マンション売却時の譲渡所得税の計算方法と節税対策

【不動産売却の税金】土地やマンション売却時の譲渡所得税の計算方法と節税対策

これまでに住宅を売却したことがない人は知らないかも知れませんが、住宅や土地などの不動産を売却すると税金がかかります。

買っても税金、売っても税金…

不動産の取り引きには税金がつきものなのです。

では、あなたのマイホームを売却すると、いったいどんな税金がどれくらいかかるのでしょうか?

きっと、これまでに住宅を売却したことがないあなたは「えっ?税金ってこんなに高いの?」と驚くはずです。

同時に、せっかく大切な資産を手放すのだから「なんとか税金を安くしたい!」と考えるでしょうね。

ここでは、住宅を売却した際にかかる税金について徹底解説しながら、住宅売却にかかる税金を節税する方法を完全ガイドします。

住宅を売却すると税金がかかる!

家売るレオさん

住宅を買うときって、不動産取得税とかの税金がかかりますよね。じゃあ「住宅を売るとき」にも税金がかかるんですか?

イエプロ

わが国の税制では「儲けを得たら課税される」という基本がありますからね。住宅を売却したときにも税金がかかりますよ。

みなさんの生活の中では「モノを買ったら税金がかかる」という感覚があるでしょう。

商品を買えば消費税がかかります。

マイカーを買えば自動車重量税がかかるし、ガソリン代にはガソリン税が含まれています。

お酒やたばこだって、小売価格の中に酒税やたばこ税が含まれています。

では「モノを売ったら税金がかかる」という感覚を持っている方はいるのでしょうか?

たとえば、ヤフオクやメルカリなどで不用品を売ったりしても、マイカーを売却したとしても、そのために税金を支払ったなんて方はいないでしょうね。

きっと「モノを売ったら税金がかかる」という感覚を持っているのは、事業として商品を販売している方だけです。

しかし、わが国の税制では「儲けが出たら課税される」のが基本ですから、みなさんが「モノを売って収益を得る」ことで税金が課せられるのは当然といえば当然ですね。

だからこそ、住宅を売却した際には税金が課せられます。

住宅を売却した際に課せられる税金は2つ

住宅を売却した際に売り主に課せられる税金は、基本的には2つです。

・印紙税
・譲渡所得税

印紙税は売買契約書に貼り付ける『印紙』を購入することで納税とみなすもので、もう一方の譲渡所得税は、住宅を売却した収益に対して課税されるものです。

たった2つの税金ですが、特に譲渡所得税に関しては考え方が複雑なので、しっかりチェックしておきましょう。

登録免許税はどちらが納める?

「住宅を売却した際に課せられる税金は?」といえば、すでに不動産売買の勉強をしている方なら「2つだけじゃない!まだ『登録免許税』があるはずだ」と察するでしょう。

たしかに、住宅を売買したときは、住宅の名義変更をおこなう手数料としての性格を持つ『登録免許税』の納税が必須となります。

でも、ここでは登録免許税のことは挙げませんでしたね。

では登録免許税はいったい誰が納税するのでしょうか?

登録免許税のことを定めている『登録免許税法』には、登記を受ける者が2人以上の場合、それぞれが連帯して納付する義務を負うと規定されています。

すると、売り主と買い主は双方が連帯して納付義務を負うことになるので、50%:50%などの割合を取り決めて費用を負担するのが当然となるでしょう。

ところが、不動産業界では「登録免許税は買い主が負担する」というルールがあります。

なぜなら、売り主から買い主に所有権を変更する登記によって利益を得るのは買い主だからです。

通常、住宅の売買では「登録免許税は買い主が負担する」という前提で価格が設定されています。

買い主の負担分を差し引いて販売価格を設定しているため、もし「いや!売り主負担で」と主張すれば、それだけ販売価格が値上がりすることを覚悟しなくてはいけません。

結論としては、登録免許税は買い主が負担するものなので、今回の「住宅を売却した際に課せられる税金」としては除外されるというわけです。

住宅売却における『印紙税』について

家売るレオさん

印紙税って、領収書とかに貼ってある『印紙』のことですか?

イエプロ

そのとおりです。法律によって「この書類には印紙税がかかります」と決められていて、住宅を売買するときに交わす売買契約書がその対象になっているんですよ。

会計事務をしたことがある方や、日ごろから仕事で領収書を交付することがある方なら『印紙』についてもなじみがるでしょう。

反対に、商品の販売などにかかわる仕事ではない方だと、印紙を使うことは少ないかもしれませんね。

ここでは、住宅を売却した際に納めることになる『印紙税』について解説します。

『印紙』とは?

ここでいう『印紙』とは、つまり『収入印紙』のことを指しています。

収入印紙とは、租税の支払いや行政に対する手数料の支払いのために利用される証憑という性格を持っています。

要するに、納税の手間を省くために利用される「納税チケット」みたいなものだと考えれば良いでしょう。

印紙は郵便切手のような形をしていて、1円~10万円の31種類の額面が用意されています。

書類に貼り付けたうえで割り印によって消印することで納税とみなすので、消印をしないと後々に税務調査を受けた際に指摘されてしまうので要注意です。

『売買契約書』に印紙を貼付する必要がある

印紙税法の第2条には、印紙を貼り付けるべき書類が定められています。

それぞれ、法律の第何号に定められているのかによって分類されていて、不動産取り引きに関するものは『第1号文書』に該当します。

・不動産売買契約書
・不動産交換契約書
・不動産売渡証書
・土地賃貸借契約書
・土地賃料変更契約書 など

これらの契約書面は、印紙税法の規定によって取り交わしの際に印紙を貼付する必要があります。

住宅を売却する際は、ここで掲げられた『不動産売買契約書』を売り主と買い主の双方が取り交わすため、それぞれが費用を負担して契約書に印紙を貼付しなくてはなりません。

売買契約書に貼付する印紙の額面は?

売買契約書に貼付する印紙の額面は、契約書に記載されている契約金額によって法律で決められています。

本来は1万円以上から印紙税が課税されますが、さすがに住宅を売却して数万円しか値段がつかないなんてことは起きないので、最低100万円からの印紙税を紹介しましょう。

また、2014年4月1日から2020年3月31日までの間に交わされる契約については軽減措置が設けられているので、本来の税額と軽減措置を受けた税額の両方を一覧表にしてみました。

契約書上の契約金額 本来の税額 軽減後の税額
100万円超~500万円以下 2000円 1000円
500万円超~1000万円以下 1万円 5000円
1000万円超~5000万円以下 2万円 1万円
5000万円超~1億円以下 6万円 3万円
1億円超~5億円以下 10万円 6万円
5億円超~10億円以下 20万円 16万円
10億円超~50億円以下 40万円 32万円
50億円超 60万円 48万円

国税庁

住宅を売却した際の売却価格は、この一覧表に照らすと1000万円超~1億円以下の価格帯になるでしょう。

ということは、印紙税は本来の税額でもせいぜい高くて6万円、軽減措置が適用されている期間は3万円となります。

気になるほどの高額な税額ではないはずですが、軽減措置が適用される期間ではおおむね印紙税額は半額程度になると考えておけば良いでしょう。

売買契約書に印紙を貼っていないとどうなる?

売買契約書は売り主・買い主がそれぞれ1通ずつ保管するもので、それぞれが保管するものに各々が費用を負担して印紙を購入し貼付します。

すると「どうせ自分が持っておくものだし、印紙なんて貼らなくてもいいのでは?」と考える方がいるかもしれません。

ところが、後々になって税務署からの調査を受けて印紙税の不納付が発覚した場合は『過怠税』を追徴されるおそれがあります。

法律上、印紙は「契約書作成のときまで」に貼付するものと決められていて、これに違反すると「印紙税額+印紙税額の2倍」=印紙税額の3倍にあたる過怠税を納めることになります。

せっかく軽減措置が適用されても、納税額が3倍になるとちょっと痛い出費になりますよね。

ただし、実際の税務調査では「この売買契約書、印紙が貼られていませんね」となると、うっかりミスであることを前提として自主的に「忘れていました」と申告したことにしてくれます。

この場合は『印紙税不納付事実申出書』という書類を作成・提出することで、契約価格の1.1倍の額面の印紙税を納めれば良いという措置になるので、あまり厳しく3倍になることはありません。

それよりも怖いのは「消印忘れ」です。

印紙に割り印などで消印をするのは、同じ印紙を再利用させないためです。

売買契約書にちゃんと印紙を貼付していても、うっかり消印を忘れてしまうと悪質な再利用を疑われてしまいます。

消印忘れの場合は不納付事実の申し出では対応できず、印紙税額と同額の過怠税を納めることになるので気を付けましょう。

また、税務調査の対象にはならなくても、売買契約書に印紙を貼付していないと、各種減税措置を受ける際に受理されないため要注意です。

たとえば、住宅ローンを利用して住宅を購入した人だと、年末の住宅ローン残高に応じて所得額が控除される『住宅ローン減税』を利用して節税することになるでしょう。

節税効果が非常に高く、買い主にとってメリットが大きな減税措置となります。

ところが、住宅ローン減税の申請には売買契約書のコピーが必要で、印紙が貼られていない契約書をコピーして提出しても書類の不備があるとして受け付けてもらえません。

売り主にとっても、買い主にとっても、住宅の売買がおこなわれたあとで売買契約書を利用する機会は多いので、故意に印紙を貼らないのはもちろん、印紙の貼り忘れや消印忘れには注意が必要です。

住宅売却における『譲渡所得税』について

家売るレオさん

住宅を売却した際に課税されるもうひとつの税金が『譲渡所得税』ですよね。

イエプロ

ところで、レオさんは『譲渡所得税』ってどんな税金だと思いますか?

家売るレオさん

え?それは…所得税ですよね?

イエプロ

それでは50点ですね。譲渡所得税=所得税+〇〇税なんですよ。さて、〇〇には何が入るでしょうか?

住宅を売却したときにかかる税金、ひとつは先ほど説明した印紙税ですが、もう一つは『譲渡所得税』です。

なるほど、所得税がかかるんだな…

と考えた方は、半分は正解で半分は不正解です。

実は、譲渡所得税という名前で課税される税金は存在しません。

ここでは、譲渡所得税の正体を探りながら、どのような方法で課税されるのかを徹底解説しましょう。

譲渡所得税=所得税+住民税

税金のことを調べるのであれば、やはり国税庁のホームページを調べるのが一番です。

ところが、国税庁のホームページ内で『譲渡所得税』と検索しても、ヒットするのは『譲渡所得』だけで、肝心の『譲渡所得税』という税金の説明はみあたりません。

それもそのはず、だって『譲渡所得税』という名前の税金は存在しないのですから。

譲渡所得税とは、住宅や土地を売却した際に得られた収入に対して課税される『所得税』と『住民税』の総称です。

みなさんの頭の中には「お金を儲けたら所得税が課税される」というイメージがあるかもしれませんが、儲けに応じて税額が増減するもう一つの税金といえば、ご存知の『住民税』ですよね。

つまり、住宅を売却したときにかかる譲渡所得税とは、住宅売却の儲けにかかる「所得税+住民税」のことなのです。

譲渡所得税はほかの所得と分けて計算する

譲渡所得税は、会社から支給される給料や自営業の収入などとは別に計算することになります。

給料は給与所得、自営業の収入は事業所得と呼んで一括で計算しますが、これを『総合課税』と呼びます。

一方で、譲渡所得税のように個別で計算するものを『分離課税』と呼びます。

「なぜわざわざそんな面倒なことを?」と感じるかもしれませんが、これにはちゃんとした理由があるんです。

住宅を売却して得る利益は、往々にしてかなりの高額になります。

場合によっては、サラリーマンの方の年収などを軽く超えてしまうこともあるでしょう。

もし、この大きな収入を給料や事業の収入とごちゃ混ぜにして所得税を計算したらどうなるでしょうか?

きっと所得税額は大きく膨らんでしまいますよね。

そのため、譲渡所得税などの分離課税方式の税金は、特別な税率や控除を適用させて税額があまりにも大きくならないように調整してくれているのです。

なんだか面倒に感じるかもしれませんが、住宅を売却した人が不利益を被らないための措置だと思えば大した抵抗はなくなるでしょうね。

『譲渡所得』の計算方法

家売るレオさん

譲渡所得税って、住宅を売却したら売却額に応じて課税されるんですよね?あんまり高値で売却しちゃうと、ものすごい譲渡所得税がかかるんじゃないですか?

イエプロ

譲渡所得税の計算方法はかなり特殊なんだけど、計算してみると意外とそこまで高額になるわけではありませんよ。とくにマイホームを売却する方だと、ほとんど課税されなかったなんてケースもあるくらいです。

譲渡所得税の計算方法は非常に特殊です。

「いくらで売却できた」というだけではなく、さまざまな要素を計算に加えることになります。

ここでは、順を追って譲渡所得税の課税対象となる『譲渡所得』の計算方法をみていきましょう。

譲渡所得の基本計算式

譲渡所得を計算する際には、次のようなイメージをもっておく必要があります。

これが譲渡所得の基本計算式になるので、まず頭に入れておきましょう。

「譲渡所得=住宅の売却価格-(住宅の購入価格+住宅の取得にかかった費用)-売却にかかった費用」

譲渡所得税は、住宅の売却価格にそのまま課税されるわけではありません。

商品を販売する店舗を例にしてみると、たとえば100円で仕入れた商品を500円で販売すれば、儲けは400円になりますよね。

ということは、販売価格の500円に課税するのではなく、実際に生じた儲けの400円に対して課税されるべきです。

ところが、店舗側としてはまだまだ納得ができません。

まず、商品を仕入れるために運送費100円がかかっています。

しかも、店舗で商品を販売するためには、テナントの家賃や従業員の人件費がかかっています。

1個の商品を販売するためには100円の経費がかかっているとしましょう。

すると、店頭において500円で販売した商品の実際の儲けは、販売価格500円-(仕入れ価格100円+運送費100円)-販売の経費100円=200円しかありません。

実際の計算でも、このように収入から各種経費を差し引いた儲けである『所得』に対して課税されるのですから、住宅の売却でも同じように「実際に生じた儲け」を譲渡所得として計算するわけです。

取得費用と売却費用の考え方

住宅を取得するには、次のような費用がかかっています。

・住宅の本体価格
・購入時の不動産会社に支払った仲介手数料
・購入時に納めた不動産取得税、登録免許税、印紙税など
・土地の価格
・土地の調査、測量、造成費用
・古い家屋の解体費用

これらは一括して「住宅を取得するためにかかった費用」と考えることができます。

ただし、これらの計算をする場合には、住宅を購入した当時の証明書類などが必要になります。

そんなものは保管していないという人がいれば、そもそも相続した住宅なのでいくらかかったのかわからないというケースもあるでしょう。

その場合は「売却価格の5%」を取得費として計上することができます。

次に、住宅を売却するためにかかった費用として計上できる支出は次のとおりです。

・売却時の不動産会社に支払った仲介手数料
・売買契約書に貼付した印紙税
・買い主から要請されておこなったリフォーム代金
・賃貸していた場合に、入居者に支払った立退料
・有利な条件の買い主に乗り換えるために支払った違約金

ここで間違いやすいのが、売却費用は「住宅を売却するために直接要した費用」に限られるということです。

長年支払ってきた固定資産税や維持・管理費、住宅ローンの残高が残っていた場合の抵当権抹消費用などは、売却に際して直接要した費用とはいえないので、ここでいう売却費用に計上することはできません。

ここまでの費用がすべて出そろったら、譲渡所得の基本的な計算は可能になるはずです。

住宅の減価償却費が差し引かれる

すでに譲渡所得の基本的な計算に必要な金額は出そろいましたが、さらに住宅を売却する際は『減価償却費』も計算するべきです。

減価償却とは、長期間にわたって使用される固定資産を取得した場合、その費用は取得したそのときに全額を経費とするのではなく、使用期間の全体にわたって分割計上するという会計上の処理のことです。

言い回しや考え方が難しいので、ここでの説明に必要な考え方にまとめると「年数が経って住宅の価値が減少しているので、その分は取得当時の購入価格から差し引く」ということになります。

減価償却は、住宅の構造によって「減価償却ができる期間」と「1年あたりに減少する価値の割合」が決まっています。

減価償却が可能な期間を『耐用年数』、1年あたりに減少する価値の割合を『償却率』と呼びます。

住宅の構造 耐用年数 償却率
木造 33年 0.031
軽量鉄骨 40年 0.025
重量鉄骨 51年 0.02
鉄筋コンクリート(RC造) 70年 0.015

一覧表にしてみるとわかりやすいのですが、耐用年数×償却率を計算するとほぼ『1』になります。

つまり、耐用年数の全期間が終了すると、固定資産の価値は年々の減少によってすべて償却したことになり、価値がゼロになります。

ここで「住宅の減価償却はわかったけど、土地はどうなるの?」と感じた方もいるでしょう。

実は、土地は減価償却されません。

なぜなら、時間が経ったからといって土地の価値が減少するわけではないからです。

地価の変動で価値が下がることはありますが、その原因は周辺の開発などの複合的な要素にあるため、土地は減価償却できません。

さて、ざっくりとでも減価償却について理解していただけたら、ここで減価償却費の計算方法を紹介しましょう。

住宅の減価償却費は次の計算式で計算できます。

「住宅の購入価格×0.9×償却率×購入からの年数」

ここで登場する「0.9」という数字は、残存価格が取得原価の10%になる場合に減価償却される金額は取得原価の90%になるため…という難しい意味があります。

ただし、この部分を深く勉強する必要はないので単に「0.9をかける」とだけ覚えておけば大丈夫でしょう。

たとえば、築20年の木造住宅で購入価格が2000万円だった場合の減価償却費は次のようになります。

「購入価格2000万円×0.9×0.031×20年=1116万円」

つまりこの住宅は20年が経過するなかで1116万円の価値が減少したことになるため、購入価格2000万円から差し引いて884万円の価値が認められるわけです。

課税対象額を計算する

では、譲渡所得税の対象となる課税所得を計算してみましょう。

先ほどの減価償却の例で挙げた住宅にもう一度登場してもらいます。

ここでは「20年前に土地建物の合計5000万円で購入した住宅が4700万円で売却できた」と仮定します。

名目 金額 合計
売却価格 住宅・土地の売却価格 4700万円 4700万円
購入時の

価格・費用

住宅の購入価格 2000万円 4134万円
土地の購入価格 3000万円
減価償却費 -1116万円
住宅・土地の購入にかかった費用 250万円(5%で計算)
売却費用 住宅の売却にかかった費用 200万円 200万円

この条件で課税所得を計算すると次のような計算結果になります。

売却価格4700万円-(土地建物の購入価格5000万円-減価償却費1116万円+取得費用250万円)-売却費用200万円=366万円

この住宅の売り主は、売却によって366万円の儲け=譲渡所得が発生したことになります。

譲渡所得税の計算方法

家売るレオさん

前準備だけでもたくさんの計算が登場しましたね。

イエプロ

ここまでの説明で計算したのは、譲渡所得税の課税対象となる『譲渡所得』です。ここからは本番の『譲渡所得税』の計算方法をみていきましょう。

譲渡所得税は、課税対象である譲渡所得に対して税率を乗じることで計算します。

ただし、税率は一定ではありません。

売却した住宅を「何年所有していたか?」によって税率が変動します。

所有期間によって『短期』と『長期』にわかれる

譲渡所得税は、対象となる住宅を所有していた期間によって税率が大幅に変わります。

ここでキーとなるのが『5年』です。

住宅の所有期間が5年以下なら『短期譲渡所得』に、5年以上になると『長期譲渡所得』になります。

では、それぞれの税率を見てみましょう。

区分 短期譲渡所得 長期譲渡所得
所有期間 5年以下 5年超
税率 所得税 30.63% 15.315%
住民税 9% 5%
合計 39.63% 20.315%

ご覧のとおり、短期譲渡所得では合計39.63%、長期譲渡所得では合計20.315%となっており、ほぼ倍額の差が生じることがわかります。

なお、所得税の税率には、2037年までを期限に『復興特別所得税』の2.1%が加算されています。

この税率で、先ほど計算した譲渡所得366万円を利用して譲渡所得税を計算してみましょう。

366万円の譲渡所得を算出するには「築20年」という条件がありましたが、ここでは無視してください。

【短期譲渡所得の場合】
所得税…112万1000円
住民税…32万9400円
合計=145万0400円

【長期譲渡所得】
所得税…56万0500円
住民税…18万3000円
合計=74万3500円

課税所得が同じでも、合計の税額はほぼ2倍の差があることがわかるでしょう。

もし売却のタイミングが5年にさしかかるという場合は、譲渡所得の種別も考慮して「本当に今が売り時なのか?」をしっかりと見極める必要がありますね。

所有期間5年の考え方に注意!

譲渡所得税は住宅の所有期間5年を境に大幅に税率が変わります。

そうすると「今年の〇月でちょうど5年を過ぎるから、税率が安くなるな」と考えがちですが、5年の数え方に注意が必要です。

譲渡所得税の区分における『5年』の考え方は、売却の年の1月1日時点を基準にしています。

たとえば、2019年4月1日に住宅を購入したとしましょう。

暦の上では、2024年4月1日で所有期間が5年に到達しますね。

しかし、譲渡所得税の区分においては、毎年の1月1日を基準点とするため、次のように計算します。

・1年経過…2021年1月1日
・2年経過…2022年1月1日
・3年経過…2023年1月1日
・4年経過…2024年1月1日
・5年経過…2025年1月1日

この例の場合、2024年4月1日を過ぎて売却すれば、暦の上では所有期間が5年を超えているため長期譲渡所得になりそうなものです。

ところが、2024年1月1日時点ではまだ所有期間が5年に満たないため、実際には短期譲渡所得が適用されてしまいます。

この計算間違いで、売却のタイミングがわずか数か月早いがために2倍近い譲渡所得税が課税されたというケースがあるので、年数の計算には注意が必要です。

譲渡所得税に関する年数のイメージはこのとおりです。

このイメージ図でいえば、2024年4月1日を過ぎて「5年が経った」と勘違いして2024年中に売却してしまうと、譲渡所得の考え方では4年になるため、短期譲渡所得として高い税率が適用されます。

年数計算が難しいと感じる方は、購入から「1年を過ぎて1月1日を何度経過したのか?」を考えてみると良いでしょう。

譲渡所得税を大幅に節約!節税対策を徹底解説

家売るレオさん

思ったほどは…とはいっても、やはり譲渡所得税は安いものではありませんね。なんとか負担を軽くできませんか?

イエプロ

今から紹介する節税対策を適用させれば、譲渡所得税の負担を軽くできますよ。

住宅を売却するということは、多くの方にとっては住み慣れたマイホームを手放すということであったり、思い出がたくさん詰まった実家を手放すことであったりします。

どちらにしても大切な資産であり、その資産を手放したうえで多額の税金が発生するのはどこか納得ができるものではありませんよね。

でも、ご安心ください。

譲渡所得税にはいくつかの特例措置が適用できるので、多くの人は譲渡所得税がほぼゼロにまで近づけることができるでしょう。

譲渡所得税を節約する方法を解説します。

所有期間10年超えの特例

先ほど、住宅の所有期間が5年以下・5年超で譲渡所得税の区分が変わることを説明しましたが、さらに所有期間が10年を超えると税率が下がります。

この特例措置では、課税対象の譲渡所得が6000万円以下か、6000万円を超えるかによって税率が変化します。

譲渡所得6000万円以下 譲渡所得6000万円超
6000万円以下の部分 6000万円超の部分
所得税 10.21% 10.21% 15.315%
住民税 4% 4% 5%
合計 14.21% 14.21% 20.315%

先ほどの課税所得366万円を例にあげると、譲渡所得税の合計は52万円となって大幅な節税が実現します。

ただし、この特例措置を受けるには、いくつかの条件があります。

・売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていること
・売却した年の前年および前々年にこの特例を受けていないこと
・マイホームの買い換えや交換の特例など、ほかの特例措置を受けていないこと
・売却の相手が、親子や夫婦、内縁関係者や同じ生計のなかで暮らす親族などではないこと

これらの条件に合致してしまうと、10年超えの特例措置を受けることはできなくなるので要注意です。

居住用財産売却の特例

売却する住宅がマイホームである人なら『居住用財産の売却の特例』が適用されます。

この特例措置は、なんと譲渡所得から3000万円を控除するという超太っ腹の制度です。

マイホームを売却して、さきほどの計算式の結果が3000万円を超えるということは、よほどの安値で買った住宅が地価の高騰などで思い切り高値で売却できたという特殊なケースです。

ほとんどの方は、この3000万円の特別控除を受けただけで譲渡所得税がゼロか、またはごく小さな税額に抑えることができるでしょう。

適用の条件は次のとおりです。

・自らが所有者として居住した住宅であること
・自分が住まなくなった日から3年が経過する年の12月31日までに住宅を売却すること
・売却した年の前年および前々年にこの特例を受けていないこと
・マイホームの買い換えや交換の特例など、ほかの特例措置を受けていないこと
・売却の相手が、親子や夫婦、内縁関係者や同じ生計のなかで暮らす親族などではないこと

マイホーム売却における3000万円の特別控除は、先ほどの「所有期間10年超えの特例」と併用可能です。

両方を適用させれば、高い譲渡所得税でも大幅に節税できるので、ぜひ活用したいですね。

注意が必要なのは「住まなくなって3年が経過する年の年末まで」という期限と、なによりも「マイホームであること」でしょう。

つまり、親から相続した住宅などを売却する際には、この特例は適用されません。

相続した実家、空き家になった実家や別荘などを売却しても適用されないことを覚えておきましょう。

平成21年および平成22年に取得した土地の特例

住宅ではなく土地の売却に限定した特例もあります。

平成21(2009)~平成22(2010)年に購入した土地を売却した場合は土地に関する譲渡所得税が1000万円控除されます。

・土地を2009年1月1日から2010年12月31日までの間に購入すること
・2009年に購入した土地は2015年以降に、2010年に購入した土地は2016年以降に売却すること
・相続、遺贈、贈与、交換などの方法で入手したものではないこと
・親子や夫婦、内縁関係者や同じ生計のなかで暮らす親族などから購入したものではないこと
・収用等の場合の特別控除や事業用資産の買い換えに伴う課税の繰り延べなどの特例を受けていないこと

この制度では、先の2つの特例のように「マイホームである」という条件はありません。

別荘やセカンドハウスなどの用途であっても適用できます。

また、売却の対象がマンション物件であった場合も、土地の敷地権を持つ部分については適用可能になっています。

さらに住宅ローン控除との併用も可能です。

2009年から2010年内に土地を購入していることが条件という限定的な面はありますが、そこさえ合致すれば適用できる方は多いでしょうね。

住宅売却時の節税対策は不動産会社にアドバイスを受けよう!

不動産会社の営業マンは、実に広い分野にわたって不動産売買のことを勉強しています。

最新の法改正や「そんなものがあったの?」と驚くような制度についても深く勉強しているので、住宅売却時の節税テクニックにも精通しています。

譲渡所得税の計算や節税についてもっと深く知りたいと感じた方は、ぜひ不動産会社に相談してアドバイスを受けましょう。

きっと、自分で調べるよりも深い知識に基づいた適切なアドバイスをもらえるはずです。

「そんなことをいっても、どの不動産会社に相談すればいいかわからない!」という方は、インターネットで『不動産の一括査定サイト』を利用してみましょう。

一括査定サイトには、三井不動産リアルティ・野村不動産グループ・住友不動産販売など、住宅や土地を高く売却するのが得意な大手不動産会社が登録しています。

大手不動産会社に一括で査定を申し込むことで、高値売却を目指すことができるのはもちろん、一流セールスマンから節税テクニックを教えてもらうこともできるでしょう。

譲渡所得税の計算や税額が気になる、なんとかして節税したいので不動産会社に相談したいという方は、ぜひ一括査定サイトを活用しましょう。

「住宅を売却したらどんな税金がかかる?」のまとめ

家売るレオさん

住宅を売却したときにかかる税金は「印紙税」と「譲渡所得税」の2つですね。

イエプロ

特に配慮すべきは譲渡所得税だけど、考え方や計算方法が難しいので、信頼できる不動産会社に相談して詳しくアドバイスを受けるのがベストですよ。

住宅を売却すると、印紙税と譲渡所得税の2つが課税されます。

印紙税は売買契約書に収入印紙を貼付するだけなので、これから住宅を売却しようと考えている方は特に譲渡所得税についてしっかりと対策を考えておくべきでしょう。

譲渡所得税は『課税所得』に基づく税金なので、所得を抑えることで税額も抑えられます。

減税措置や特別控除などを上手に利用して、賢く節税しましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です