【2020年改正】不動産売却における契約不適合担保責任とは!?改正前の瑕疵担保責任との違い

【2020年改正】不動産売却における契約不適合担保責任とは!?改正前の瑕疵担保責任との違い

みなさんは「民法が改正される」というニュースをご存知でしょうか?

国民の生活が大きく変化する中で幾度となく改正が繰り返されてきたので、特に目新しい感じはしないかもしれませんね。

ところが、今回の民法改正では、民法が制定された1986年以降、はじめて大幅な改正が加わる分野の制度が改変されます。

その中でも非常に注目度が高いのが『契約不適合担保責任』です。

実はコレ、住宅や土地などの不動産を売却したことがある方ならよくご存じの『瑕疵担保責任』の改正後の姿なのです。

そうなると「これまでと制度が変わるの?」と疑問を感じますよね。

今回は、民法改正のニュースの中でも注目度が高い『契約不適合担保責任』について解説しましょう。

民法改正で瑕疵担保責任が変わる!

【レオさん】
ニュースで「民法改正」って騒いでますけど、よくあることですよね。そんなに驚くことなんですか?

【店長】
民法は幅広くいろいろな分野のことを定めていますからね。でも今回は、なんと120年も手付かずの分野にメスが入るんですよ。しかも今回は住宅の売買に深く関係する『瑕疵担保責任』が改正されるんです。」

民法は1986年に制定された非常に古い法令です。

1986年といえば和暦は明治29年。

実に120年も前のことなんですね。

2019年3月時点で日本最高齢は福岡県に住む田中カ子(かね)さんで116歳。

田中さんは、存命中の世界最高齢としてギネス記録に認定されています。

つまり、現在、民法が制定された当時の時代を生きていた人はもうこの世には存在していないということですね。

現在の民法は全1044条で構成されており、全5編に分割されています。

・第1~3編…財産法または契約法(総則、物件、債権)
・第4~5編…身分法または家族法(親族、相続)

民法改正といえば、最近では2018年に「成人の年齢を20歳から18歳に引き下げる」という改正が成立するなど、社会生活や情勢の変化によってさまざまな分野の改正がおこなわれています。

民法自体が非常に古いため、より現代の生活に則したものへと変化が要求されるわけです。

いま例に挙げた「成人年齢の引き下げ」も民法制定当時からの古い決まりでしたが、今回、同じく改正が加わるのが『債権』に関する部分です。

そして、この部分には住宅や土地を売却しようとしている方にとっては関係が深い『瑕疵担保責任』の部分が含まれているのです。

瑕疵担保責任について超カンタンに解説!

瑕疵担保責任はとても難しく、とっつきにくい制度なので、ここでの詳しい説明は省きましょう。

ものすごくカンタンに説明すると、瑕疵担保責任とはこういう意味です。

住宅や土地を売買する場合、もし住宅や土地に欠陥があったことに後から気づいた場合、売り主が修繕や賠償の責任を負う。

これが瑕疵担保責任の超カンタンな説明であって、同時に根幹となる考え方です。

住宅や土地は人生のうちに何度もするものではない高い買い物になります。

一度買ってしまえば、ちょっとくらい気に入らない部分があったり、不具合があったりしたからといって、すぐに買い換えるようなものではありません。

だからといって、最初から何らかの欠陥があったようなものを売りつけられてガマンができるものでもないでしょう。

そこで、住宅や土地の買い主を保護するために、売り主に一定の責任を負ってもらおうというのが瑕疵担保責任の主旨なのです。

瑕疵担保責任は『契約不適合担保責任』へと改正される

従来の民法では、瑕疵担保責任は第570条および第566条に規定されています。

今回の民法改正で、この条文はどのように変わるのでしょうか?

まずは現行の第570条を見てみましょう。

“売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合はこの限りではない。”

次に、改正される予定の第570条を見てみます。

“売り主が種類または品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買い主に引き渡した場合において、買い主がその不適合の事実を知ったときから1年以内に当該事実を売り主に通知しないときは、買い主は、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求および契約の解除をすることができない。ただし、売り主が引き渡しのときに目的物が契約の内容に適合しないものであることを知っていたときまたは知らなかったことについて重大な過失があったときは、この限りでない。”

随分と長い内容に改正されていますが、まず注目すべきは条文の前提条件が変更されている点です。

従来は「売買の目的物に隠れた瑕疵があったとき」とされており、これが『瑕疵担保責任』に結びついています。

改正後は「売り主が種類または品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買い主に引き渡した場合」となっており、この部分が『契約不適合担保責任』という名称の根拠になっているようです。

民法が改正されることによって『瑕疵担保責任』という用語は根拠を失ってしまうため、改正後は『契約不適合担保責任』と呼ぶことになるでしょう。

契約不適合担保責任への改正の影響は?改正後の変更点

【レオさん】
『瑕疵担保責任』も難しい用語でしたが『契約不適合担保責任』もなかなか堅苦しくて難しい用語ですね。

【店長】
変わるのは呼び名だけではありませんよ。契約不適合担保責任に改正されることで、瑕疵担保責任は大きく姿を変えることになります。」

民法が改正されることで、従来の瑕疵担保責任の考え方には大幅な改正が加えられます。

まずは改正点を図にまとめたので、こちらをご覧ください。

名称 瑕疵担保責任(現行) 契約不適合担保責任(2020年から)
担保責任の対象

隠れた瑕疵

(通常有すべき品質を欠いており、相当の注意を払わないと発見できないもの)

契約との不適合

(品質・数量が契約と一致しないこと)

対抗手段 ・瑕疵の補修

・契約の解除

・損害賠償の請求

・不適合の補修

・契約の解除

・損害賠償の請求

・代金減額請求

請求権の起算点 事実を知って1年以内 ・事実を知って1年以内に通知

・納品後5年で請求権が消滅

契約中断時の中途成果物に対する支払い なし 中途成果物によって得られた利益の割合に応じて支払い義務が発生

※赤字は改正点

「隠れた瑕疵」から「契約との不適合」へと改正される

従来の『瑕疵担保責任』という用語の出自となっているのが「隠れた瑕疵」という法律上の表現です。

瑕疵とはカンタンにいえば『欠陥』のことで、かくれた瑕疵とは「契約時に相当な注意を払っても気づくことができなかった欠陥」という意味で解釈されています。

今回の民法改正で、この「隠れた瑕疵」という表現は完全に姿を消して「売り主が種類または品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買い主に引き渡した場合」という表現に変身します。

売り主は、改正後は「対象物の品質や数量が契約に合致していない場合の責任を負う」という立場になるわけです。

そもそも「隠れた瑕疵」の解釈が難解だったため、今回の改正でスッキリとしたイメージはありますね。

隠れた瑕疵の考え方においても、契約当時に想定していた品質を欠くという考え方があるので、むしろ『契約不適合』という表現のほうが理にかなっているのかもしれません。

名称が『契約不適合担保責任』になるのか?

不動産の取り引きに関する用語は、民法の規定に準じながらも民法の表現に則していない場合が多々あります。

そのため『瑕疵担保責任』という表現をわざわざ『契約不適合担保責任』に置き換える必要があるのかも疑問が残るところです。

それに、民法の表現が変わったとしても、不動産に関する法令から『瑕疵』という用語が消え去るわけではありません。

たとえば住宅の品質確保等の促進に関する法律(通称:品確法)においては「この法律において瑕疵とは、種類または品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう」と改正民法を意識した内容に変更しつつ、やはり伝統的に使用されてきた『瑕疵』という用語を残すことが決定しています。

民法改正に準じて『契約不適合担保責任』に変身するのか、それとも内容は変更されたとしても『瑕疵担保責任』の名を残すのかは、業界全体のルールとして統一されるべきでしょう。

対抗手段に『代金減額請求』が加わる

従来の瑕疵担保責任においては、瑕疵が発生した場合の買い主の対抗手段は3つに限られていました。

【従来民法における対抗手段】
・瑕疵の補修
・契約の解除
・損害賠償の請求

今回の民法改正で、この3つの手段に加えて新たに『代金減額請求』が設けられます。

代金減額請求とは、目的物に瑕疵がある場合はそれに応じた代金の減額を求めることを指し、不動産の分野においては、たとえば「契約上の表示面積と実測面積の間に過不足があった」などの場合に適用されてきました。

従来の瑕疵担保責任では、売り主負担で瑕疵を補修するか、それが叶わなければ契約を解除するか、または買い主が被った損害を金銭で賠償するかという、手続き上も煩雑な方法でしか対抗できませんでした。

今回の民法改正によって、契約解除や損害賠償請求よりもソフトな手法である『代金減額請求』が加わえられることで、トラブル当事者間の解決がより容易になるものと期待されます。

売り主の責任期間は「納品後5年間」に短縮される

これまで、瑕疵担保責任によって売り主が責任を負う期間は、民法に特段の定めがなかったため永久に責任を負うことになっていました。

また、瑕疵担保責任は民法の定めによって「瑕疵をしって1年以内」が請求期間だったので、たとえば10年後でも20年後でも、買い主がつい最近になって物件の瑕疵を知ったのであればいつでも責任を追及できるという構図になっていたのです。

ただし、民法には債権消滅時効という考え方があり、その限度が10年間であるので、実務的に売り主が責任を負う期間は「引き渡しから10年以内で、買い主が瑕疵を知って1年以内」という考え方になっていました。

今回の民法改正では、契約不適合の責任を負う期間が「納品後5年間」で「瑕疵を知って1年以内に通知」に変更されています。

つまり、納品後の期限が10年間から5年間に改正されることで、売り主の責任は大幅に軽減されることになります。

この点は、中古住宅の売買においては売買契約書においてほぼ確実に責任期間の特約を設けることになり、引き渡し後3か月以内とか、引き渡し後は一切の責任を負わないなどの定めで責任を軽減するため、あまり深く考えるところではないでしょう。

また、新築住宅の購入においては引き続き品確法による10年間の保証が守られるため、新築住宅を購入しようとする人の権利が減少するわけではありません。

『中途成果物』への支払い義務の新設はあまり関係がない?

今回の改正によって大幅な変更が加えられたのが『中途成果物』の取り扱いです。

これまでの瑕疵担保責任においては、契約を中断した時点における中途成果物に関する取り決めはありませんでした。

改正によって、中途成果物によって買い主が利益を得られる場合には、その割合に応じて売り主に代金を支払う義務が発生するという規定が新設されます。

主にシステム開発などの分野における契約では売り主を保護する効果が高まるものと予想される規定ですね。

不動産取引においては、たとえば新築住宅の建築で「住宅そのものが完成していても外構工事が完了していないまま中断となった」といったケースが想定されます。

たしかに、外構工事まで含まれている工事契約であれば、外構工事が完了しないと契約が完全に履行されたとはいえませんが、住宅のみをみれば完成しているので「終わっていないから契約は白紙に」となるのは売り主にとっては不条理に感じるでしょう。

中古住宅の売買においてはあまり関係がないかもしれませんが、新設されている規定なので「知っておく」程度でも把握しておくべきですね。

いつから適用される?契約不適合担保責任の施行日は?

【レオさん】
法律の改正って「いつから」なのかがわかりにくいですよね。瑕疵担保責任が契約不適合担保責任に変わるのはいつからなんですか?

【店長】
今回の改正は2020年4月1日に施行されることが決定していますよ。」

今回の民法改正は2017年5月26日に成立しました。

施行は3年以内に順次となり、2019年中には相続や遺言に関する部分の改正が施行されます。

では、瑕疵担保責任が契約不適合担保責任へと改正されるのはいつになるのかというと、すでに2020年4月1日からという日程が決定しています。

すると「いま中古住宅を売却した場合は、2020年4月1日になると影響を受けるの?」という疑問があるでしょう。

契約不適合担保責任は契約によって生じるため、効果が発生するのは2020年4月1日以降に売買契約を交わす取り引きに限られます。

「契約不適合担保責任とは?瑕疵担保責任とは違うの?」のまとめ

【レオさん】
今回の民法改正は、住宅や土地を売りたい人にとって考え方を大幅に変える必要がありますね。

【店長】
法改正の決定が先行していますが、まだ業界ルールの見直しなど不明確な部分も残されています。これから施行日までの間に検討するべき課題はまだまだ多いようですね。」

120年ぶりに改正が加えられる民法の『瑕疵担保責任』は、2020年4月1日から『契約不適合担保責任』になります。

責任の対象や責任期限の変化など、これまでの瑕疵担保責任から大きな変更が加えられることになるので、現時点ですぐに住宅や土地を売却する予定がなくても「いずれは売却するかも」という方は要チェックですね。

今後、業界ルールの決定など施行日に向けて新たに公表される情報も増えてくるはずなので、住宅・土地の売却を予定している方は情報のアンテナをしっかりと張っておきましょう。」

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