無窓居室とは!?サービスルーム・DEN・納戸など無窓居室を徹底解説

無窓居室とは!?サービスルーム・DEN・納戸など無窓居室を徹底解説

みなさんは不動産物件の間取り図のなかに「DEN」や「サービスルーム」といった記載があることにお気づきでしょうか?

これらは、全て「無窓居室」をあらわしています。

無窓居室という用語については「初めて聞いた」という方も多いことでしょう。

建築のことを勉強していない限り、まず無窓居室という用語を使う機会なんてありません。

ただし、これからマイホームの建築を予定していたり、中古住宅やマンションを購入しようと考えている方なら、

「無窓居室」という用語の意味や意義を理解しておいても損はないでしょう。

ここでは、建築の勉強をしていても間違いや勘違いをしている方も多い「無窓居室」について

意味や定義などを、建築の知識がない初心者の方でもマスターできるように解説していきましょう。

窓がない部屋!?無窓居室とは

家売るレオさん

店長、この物件の間取り図なんですけど「DEN」って書いてある部屋があるじゃないですか?

この「DEN」ってなんの部屋なんですか?

マンション
売却プロ

ああ、そこは「無窓居室」のことですよ。

家売るレオさん

ムソウキョシツ?

マンション
売却プロ

レオさんはまだ勉強中だから聞いたことがなかったかも知れませんね。

言っておきますけど「窓がないけどゴメンね」みたいな意味ではありませんよ。

建築基準法には住宅建築における様々な決まりごとが規定されています。

「無窓居室」もその一つですが、この無窓居室というものが建築基準法を勉強している方にとっては非常に難しく頭を悩ませる材料となっています

無窓居室とは、一体どういう意味なのでしょうか?

無窓居室=「窓がない」という意味ではない!

無窓居室とは!?サービスルーム・DEN・納戸など無窓居室を徹底解説

まずは「無窓居室」とはどのような場所を指すのかを説明しておきましょう。

みなさんは「窓」がどのような役割を果たしていると思いますか?

窓があると、気持ちの良い朝の日差しが部屋に差し込んできますよね。

窓があるのとないのとでは、開放感がまるで違うものです。

窓を開ければ自然の空気を室内に取り込むことができるし、部屋の中の空気がこもってしまったら窓を開けて換気もするでしょう。

もし室内で火事が起きてしまったり、大地震が起きて住宅に歪みが生じてしまえば、玄関ドアではなく窓から素早く避難することもできます。

このように「窓」は単に外を見渡すためではなく、

住宅内での生活を気持ちの良いものにしてくれたり、万が一の場合には生命を救ってくれたりもする大切な住宅設備のひとつなのです。

そのものズバリ「窓がない」という意味になるであろう「無窓居室」ですが、

実は「窓がない居室」という意味だと単純に解釈してしまえば、それは間違いです。

たとえば、窓の場所や大きさ次第では、申し訳程度に小窓を設けたとしても無窓居室になってしまいます。

窓が「窓としての機能」を十分に果たしていない限りは、たとえ窓があったとしても無窓居室なのです。

無窓居室には4種類の定義がある

建築基準法では、住宅に十分な機能を持たせるためにあらゆる側面からの規制が加わっています。

そして、さまざまな規制に照らしてみていくと、無窓居室には4つの解釈があることが分かります。

  • 「居室」の制限としての無窓居室
  • 「防火性」の制限としての無窓居室
  • 「防災上」の制限としての無窓居室
  • 「内装」の制限としての無窓居室
家売るレオさん

こうやってみると、それぞれがさっき考えた「窓としての役割」と関係していますね。

マンション
売却プロ

そのとおり!その意識があればここからの説明も理解しやすいはずですよ。

無窓居室① 居室としての制限

無窓居室とは!?サービスルーム・DEN・納戸など無窓居室を徹底解説

建築基準法では、居室について定義や条件を次のように定めています。

  • 居室とは「居住、作業、娯楽などの目的のために継続的に使用する室」を指す
  • 一般住宅における居室には、採光のためその部屋の床面積の7分の1以上の開口部が必要である

なんと、採光のために有効な窓がないと、その部屋は居室とはみなされません

リビング・寝室・子ども部屋・客間として扱うためには最低限の大きさの窓が必要になり、

その窓がないと「居室の制限としての無窓居室」になってしまいます。

極端なことをいってしまえば、リビングダイニングキッチン・寝室・子ども部屋の3LDK住宅を建てたとしても、

窓が一切ない場合は建築確認の際に居室としては認められないため、居室がない住宅になってしまいます。

みなさんの中には「寝室は光が差し込まないほうがいいので窓は作りたくない」という方がいるかもしれません。

その場合、無窓居室となっている寝室を「寝室」として確認申請しても却下されてしまうため、

物置きなどとして使用する「納戸(なんど)」として図面に記載して検査を受けることになります。

マンション
売却プロ

ただし、地下室や暗室のように採光用の窓を設備できない場合や、障子・ふすまで仕切られている開放可能な部屋の場合は対象外となります。

このような採光のとり方を「2室採光」といいます。

居室として使用する場合は「換気量」も測定する

無窓居室とは!?サービスルーム・DEN・納戸など無窓居室を徹底解説

窓が果たす重要な役割として採光とともに挙げられるのが「換気」です。

密閉した室内で人間が過ごすと、室内の酸素量が低下してしまいます。

そのため、無窓居室については「換気量」を測定することになります

換気量の計算方法は次のとおりです。

 

(居室の床面積×20㎥)÷ 1人あたりの占有面積=1時間に必要な換気量

 

「20㎥」とは、人間1人が1時間に必要な最低換気量です。

1人あたりの占有面積は、通常のオフィスなどで3〜5㎡といわれています。

また、一般住宅の居室などでは10㎡を超えることがありますが、その場合は10㎡を上限に計算します。

完成後の検査では、無窓居室内の複数の箇所に風速計を設置して換気量を算出します。

無窓居室② 防火性の制限

無窓居室とは!?サービスルーム・DEN・納戸など無窓居室を徹底解説

住宅で火災が発生してしまうと、理不尽なほどに容赦なく大切な財産が奪われてしまいます。

そのため、建築基準法では、火災の予防のためにさまざまな規制が設けられています。

では、防火性における無窓居室の条件を見てみましょう。

  • 床面積の20分の1以上の開口部がある
  • 直径1m以上の円が内接できる、または120㎝×75㎝以上の窓がる

このいずれかの条件を満たしていないと、防火性における無窓居室とみなされます。

防火性の面で無窓居室とみなされた場合は、その居室を区画する主要構造部を耐火構造にする、または不燃材料で建築するという対策が必要になります。

床面積の20分の1程度の窓であればかなり規制は緩いのではないかと感じられますが、どうしても無窓居室になってしまうケースがあります。

たとえば、デパートなどでは区画された居室に窓を設備することができないパターンも多く、無窓居室になるため耐火構造または不燃材料での建築が必要になります。

防火性の面でみた場合でも、その居室単独で採光することができなかった場合に、開放できる間仕切りで区画された2室以上での採光が認められています

無窓居室③ 防災上の制限

無窓居室とは!?サービスルーム・DEN・納戸など無窓居室を徹底解説

引用:有効な窓の有無|キャノンシステムアンドサポート株式会社

もし、建物内で火災などが発生した場合、窓には大きな役割が2つあります。

1つは「採光」です。

建物内が停電したり、煙で室内の視界が遮られてしまった場合などでは、室内に差し込む自然光が安全な避難経路を探す手助けをしてくれます。

そのため、防災上の措置として「床面積の20分の1以上の窓」がないと「採光無窓居室」とみなされます。

もう一つの大きな役割は「排煙」です。

火災による死者の多くは、煙を大量に吸い込むことで中毒症状を起こして避難できなくなって亡くなっています。

火災の発生時には、窓を開放することで煙を外部に逃し、

建物内に煙が充満することを防ぐために、次の2点を満たした窓を設備する必要があります。

  • 天井または天井から下方80㎝以内に設置された窓
  • 床面積の50分の1以上が開放できる窓

煙は下から上にあがるため、天井または天井から下方80㎝以内で開放可能な窓がなければ「排煙無窓居室」とみなされます。

もし、足元部分に広い窓があっても、採光は十分だが開放ができない「はめ殺し窓」があっても、防災上は無窓居室とみなされるわけです。

防災上の採光無窓居室・排煙無窓居室とみなされた場合は、それぞれに措置が必要になります。

  • 採光無窓居室の場合…非常用の照明を設置する
  • 排煙無窓居室の場合…排煙装置を設置する

特に「排煙」についての考え方が難しいので、図で補足しておきましょう。

無窓居室とは!?サービスルーム・DEN・納戸など無窓居室の4つの制限を徹底解説

住宅の窓は、ほとんどが左右のどちらかにガラスを寄せて開く「引き違い窓」が採用されています。

引き違い窓では、窓枠から外さない限り、開口部の全てを開放することはできません。

つまり、有効な開放面積は最大でも窓面積の半分しかありません。

さらに、排煙のためには「天井から80㎝以内の開口部」が必要となるため、縦方向の制限によってさらに有効な開放面積は狭くなります。

ここで、排煙のための有効な窓面積が床面積の50分の1以上ない場合、その居室は「排煙無窓居室」になるわけです。

防災上の無窓居室は「歩行距離」の制限も受ける!

防災上の制限による無窓居室の場合は「歩行距離」の制限も受けることになります。

何の歩行距離かというと「避難のための階段までの距離」です。

通常、オフィスビルなどでは、避難階段までの歩行距離が次のように制限されています。

  • 14階以下…60m以内
  • 15階以上…50m以内

ところが、防災上の無窓居室があった場合は、無窓居室の中の最も遠い位置から避難階段までの歩行距離がさらに強く制限されます。

無窓居室とは!?サービスルーム・DEN・納戸など無窓居室を徹底解説

引用:オフィスの直通階段(避難階段)までの距離|キャノンシステムアンドサポート株式会社

  • 14階以下…40m以内
  • 15階以上…30m以内

オフィスビルなどではビルの両端に非常階段が設備されていることが多くありますが、

もしフロアの中央部分近くに無窓居室があった場合は、歩行距離の制限を満たすことができないケースが多いため注意が必要です。

無窓居室④ 内装の制限

無窓居室とは!?サービスルーム・DEN・納戸など無窓居室を徹底解説

引用:建築知識研究所

もし無窓居室内で火災が発生してしまった場合、排煙設備があったとしても居室内は炎と煙が充満する非常に危険な状態になります。

そのため、無窓居室は「内装」にも制限を受けます

  • 床面積50㎡を超える居室においては、天井から50㎝以下の有効な開放面積が床面積の50分の1以上
  • 天井高が6mを超える
  • 温湿度調整が必要な作業をおこなう部屋では、それぞれの用途に応じて必要な採光面積を持つ

これらの条件を満たさない居室は、内装制限上の無窓居室となります。

内装制限を受ける無窓居室では「室内の天井・壁の全てを不燃材料で建築する」という条件があります。

マンション
売却プロ

室内の不燃材料としては、厚紙が6㎜以下のせっこうボードを使用するのが一般的です。

木材などは使用できないので注意してください。

無窓居室は「居室」として使用できない?

無窓居室とは!?サービスルーム・DEN・納戸など無窓居室を徹底解説

ここまでは「無窓居室」の意味や、4種類の無窓居室についての定義などを解説しました。

これらの無窓居室は、居室としての定義を満たしていないことになるため、建築図面や間取り図の上では「居室」としては表示されません

無窓居室を「リビング」「居間」「寝室」などと記載してしまうと、

建築基準法に違反した部屋が存在することになって検査に合格しなくなるからです。

そのため、図面上は「納戸」「サービスルーム」「DEN」などの表記で「居室ではありませんよ」という体裁のもとに検査をパスさせることになります。

では「無窓居室を寝室にしたい」「子ども部屋として使いたい」という場合は何か不都合があるのでしょうか?

まず「居室として使用する」ということには何ら問題はありません

住居内のどこをどのように使用しても、それは居住者の自由です。

納戸を寝室にしようが、その反対に寝室を物置代わりに使おうが、居住者が使いやすいように使えば良い話です。

快適性は失われていることは覚悟しよう

無窓居室とは!?サービスルーム・DEN・納戸など無窓居室を徹底解説

ただし「居室としての快適性」は失われることを覚悟しておく必要はあるでしょう。

居室を快適にするための自然採光や換気が不十分であるため、常に薄暗くてジメジメとした住み心地になるおそれがあります。

さらに、通常の居室であれば、

  • 壁面の上部に設置されるエアコン用のコンセント
  • パイプを通すための「スリーブ」と呼ばれる穴
  • 電話回線やテレビ回線
  • 1室につき2カ所のコンセント

が設備されていますが、無窓居室の場合はこれらが設備されていないことがあります。

非常に過ごしにくく、不便な生活となってしまいますが、建築基準法上ではその部屋は「人が生活するための部屋」とはみなしていないのですから仕方がありません

これからマイホームを新築するのであれば「納戸にもコンセントを増設したい」などのプランニングは可能ですが、

中古住宅や分譲マンションなどでは「検査にパスできる程度の部屋として」でしか仕上がっていないことに留意しておきましょう。

無窓居室とは!?サービスルーム・DEN・納戸など無窓居室を徹底解説のまとめ

家売るレオさん

無窓居室って、アパートとかマンションのフロア中ほどにありがちな「窓がないから不便」という程度の問題かと思っていましたけど、

まさか法律で「居室とはみなさない」なんて扱いを受けるとまでは…

マンション
売却プロ

建築基準法を勉強している方の間でも、無窓居室については関係する規制が多いので難所となっているようです。

マイホームを建てたり、中古住宅やマンション物件を購入しようと検討している方なら、まずは「採光」に意識を向けておけば大丈夫です

家売るレオさん

あと「納戸」として検査を受けたスペースをどうやって自由に活用するのかも考えどころですね。

マンション
売却プロ

住む人によって住宅の使用法はそれぞれ違いますから。

自由な発想で上手にスペースを活用していきましょう。

ここでは「無窓居室」の意味や、4つの無窓居室についての定義について解説しました。

自分たちで設計して、自分たちだけでマイホームを建てることはまずないので、

プロの建築士や施工業者の手によって居室が無窓居室にならないようにしてくれているはずです。

ただし、無窓居室であるがために納戸として検査をパスしている部屋について、

寝室や子ども部屋などとして活用しようとすると、不便が生じてしまったり、万が一の場合に危険が生じてしまったりすることは否定できません

もし納戸・サービスルーム・DENの記載がある中古住宅やマンションを購入する場合は、

間取り図上の用途を確認の上で、どんな理由があって居室になっていないのかを確認のうえで活用法を決めましょう。

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